ジョエルの喫煙ライブラリを終了します
禁煙補助剤:長引く離脱症状
「首を絞めてやる!いつも能書きを言っている72時間うんぬんのガラクタ。72時間過ぎても少しも楽にならない!一日目から嘘をついている!」 この暖かい挨拶はひどく怒ったクリニック参加者から日曜の晩に投げつけられた。確かに彼女には怒る理由があった。5日間絶え間なく離脱症状に悩まされ続ければどんな人でも冷静さを失う。
彼女が怒るのは正当な権利だが、怒りの矛先が違う。長引いた苦悩の責めを負うのは彼女自身しかいない。なぜなら他の大多数の参加者と違って火曜日夜のクリニックでタバコを捨てなかった。代わりにその夜二本のタバコを吸った。そして水曜日に二枚のニコチンガムを噛んだ。タバコに続いてガムでニコチンを処方したので振り出しに戻ったとその時私は彼女に伝えた。彼女はその時にも怒った。彼女は一体何を根拠に自分が禁煙に失敗しているというのか知りたがっていた。しかし彼女はタバコを捨ててガムも使わないと言った。
不幸にして彼女はガムを捨てなかったし毎日二枚噛み続けた。続く三日間はものすごいものだった。毎晩彼女はクリニックに出席して身を切るように苦情を言った。でもこれは何も特別なことでは無い、最初の三日間は多くの人が苦痛を訴えるのだ。土曜日になっても依然として苦しい症状を訴えた。しかし彼女は一日遅れで禁煙したのでこれも予想の範囲かもしれないと思った。日曜日には離脱症状が緩和しても良いはずだった。しかし実態はそうではなく彼女はぷりぷりしていた。
私は彼女にガムが離脱症状を長引かせていると告げた。「でもたったの二枚のガムでタバコを吸っているのとは違うでしょう。」 全ての問題を起こしているこの重要な点を認識しなかったのは彼女の失敗だった。ガムを噛むことは一服することと全く同じである。彼女は少量のニコチンを処方していたのだ…彼女が欲していた量には不充分だったが、依存症を強固にし慢性的な離脱症状を起こすには充分な量である。
説明の後でも彼女は挑戦的だった。ニコチンガムが問題を起こしているということを受け入れなかった。それでも彼女は翌日もクリニックに参加した。残りの参加者は全員成功裡に週末を乗り切った。彼らは依然として時々タバコが欲しくなるが最初の数日に経験したほどの強力な渇望ではないと話していた。いつものことであるが彼らは目に見えるほど穏やかで自分達が達成した進捗に熱中していた。
グループのほとんど全員が同じような感情を表明していた。ガムを噛んでいる友人を除いて、彼女は依然としてひどく苦情を述べ立てていた。彼女は禁煙を可能にし、耐え抜くためにはタバコかガムが必要だと今までどおり主張していた。会合のはじめに彼女は議論を独占しようとした。しかしグループのメンバーは自分の恐怖の禁煙体験を座って聞くことに興味を持っていないことに気が付いた。彼らにとってそれは過去のことであり、もっと適切な話し合いたいことがあったのだ。
他のクラスメートの建設的な話しに耳を傾けて、最後に彼女は被害を蒙っているのは自分だけなのだと気づき始めた。離脱症状が72時間後には緩和に向かうという予告は真実である。彼女とクラスのほかのメンバーとの違いは彼女が最初に吸った数本のタバコとその後のニコチンガムの使用だけである。
禁煙は最も容易で効果的な方法でやるべきだ。どんな形であれ完全にニコチンの使用を止めてください。数日で離脱症状は軽くなり二週間で完全に無くなります。そして二度と禁煙をしなくてはならない羽目に陥らないためには…決してその一服をすわないで!
注:
この記事は最初1986年に出版した。その後数多くの同じような製品(パッチ、ガム、鼻スプレー、吸入剤は現在開発中である)がOTC(処方箋なし)禁煙補助剤として売られている。同じ原理が全ての製品に適用できる、これらの製品はニコチンの供給方法を変えているだけである。 もし喫煙者が単純に禁煙すれば離脱症状は72時間でピークを迎えその後軽くなってゆく。補助剤を使うことは出費が多くなることに加えて禁煙のプロセスを長引かせることになる。
翻訳:西田季彦